新規事業や起業の「前」に、なぜマーケティングを考える必要があるのか?
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起業の前に考えておくべきデジタルマーケティングは沢山ありますが、最も重要なのは「集客モデル」を明確にすることです。
集客モデルとは何でしょう。
簡単に言えば、どのような集客媒体(チャネル)で、どの程度の金額を投資し、顧客を獲得するかという枠組みのことです。
新規事業を考える時、やってしまいがちな過ちは、事業と新規獲得を切り離して考えることです。
しかし、本来、集客モデルは、事業モデルを考えるときに合わせて考える必要があることなのです。
目次
1. 集客モデルを作り、コストを把握する
わかりやすい例で考えてみましょう。
例えばお店を開くとします(焼き鳥店でも、イタリアンでも構いませんが)
運良く駅前の一等地に店舗を借りられたのであれば、特に努力をしなくても集客できるかもしれません。
また、あなたの料理にもともとファンが多いのであれば、どんな辺鄙な場所でも多くのファンが訪れてくれるかもしれません。
しかし、もし借りられた店舗が、交通の便のよくない裏道に位置していていて、あなたの素晴らしい料理も、まだそれほどファンが付いていないとすれば、どうでしょうか?
人が来ないからと言って、その後慌てて集客しようにも、広告で顧客を集めては、採算が取れないかもしれません。
つまり、そもそも客単価や利益率は、一定の集客コストを計算に組み込んで設計されなければいけないのです。
このように、どのような集客モデルを採用するかということは、事業の根幹に関わる部分であり、お店を開いてからでは変更することが出来ません。
デジタルマーケティングでも同様です。広告に頼らなくても、当然のことながらコストは発生します。
「検索エンジンで検索されるだろうから大丈夫」などと甘く考えてはいないでしょうか?
例えば、家具のECサイトを立ち上げるとします。
ソファーやベッドなど、ある程度ニーズのある家具なら、すでに一定の需要があり、検索数もあるかもしれませんが、オットマンを売りたいのであればどうでしょうか。
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(こういうやつ)
ほとんど検索数がないはずです。
一方ソファーやベッドなど、検索数の多い検索キーワードは、競合が多く、勝つことも容易ではなく、何かしらの施策が必要になります。
つまり、検索されるためにも、一定のコストが必要なのです。
集客モデルが新規事業において極めて重要な指標であり、また容易に変えることができないという事も、分かっていただけるのではないでしょうか。
また、集客モデルを明確にすることにより、そもそも、その事業自体に需要があるのかということを明確にすることもできます(これは、次の章で詳しく説明します)。
ニーズが明確でない事業が成功することは決してありません。
2. 集客チャネルを選ぶ
飲食店の例がわかりやすいので、もう一度説明しましょう。例えば、ぐるなびやホットペッパーなどのクーポン系サイトに掲載するのか、もしくは食べログや、Google プレイスなどで高評価を取り、口コミで集客をするのか。
広告を出稿するのがあれば、当然客単価も下がるはずですし、利益率も低下すると考えた方がいいでしょう。
例えばホットペッパーでクーポンを見て来店するのは、大人数で忘年会や歓迎会などを行うような客層が多いはずです。
そのような客層を前提にするなら、客単価を上げるよりも、むしろ顧客の回転率を上げることで 、満席率を上げたり、食べ物のコストを下げることを考えるでしょう。
一方、口コミを中心に集客するのであれば、料理のクオリティが高くなくてはいけません。サービスなどに少し不満があるだけでも、悪い評価が付く可能性があります。細部まで心を配る必要があるのです。
このように、集客チャネルを決めることは事業そのものに影響します。
集客モデルと事業モデルに関する間違った例として、一つのサービスを上げます。グルーポンです。
グルーポンは、集団でクーポンを買うことで、顧客が通常では行けないような高級店に行くことができ、店舗側は、クーポンで安く提供したとしても、その顧客がリピーターとなることで、長期的には元が取れるいうことを前提にした事業モデルでした。
しかし、実際に店に来たのはクーポン目当ての客ばかりで、リピート率向上にはつながらなかったのです。
「事業モデル」「ターゲットの顧客」「集客チャネル」この三つが揃って、初めて事業モデルを作るのに必要なマーケティングプランが作成できます。
3. 競合を把握する
次に、競合について考えましょう。ツールをご紹介します。
様々なウェブサイトのデータを外部から閲覧できる、イスラエル発の分析サービスです。謎の技術で、割と正確なデータが出ます。
競合のサービスや事業、企業などの情報をきちんとリサーチすることで、集客モデルを明確にしましょう。
例えば、EC サイトを開くとすれば、どうなるでしょうか。
Amazon
例えば、Amazon を見てみましょう。
特筆すべきは、ダイレクト流入の大きさです。検索でも一定程度集客ができていますが、直接 Amazon のURLを指定して流入するユーザーが最大だということです。
北欧、暮らしの道具店
小規模ECはどうでしょうか?
北欧、暮らしの道具店 はこのようなトラフィックになっています。
「北欧、暮らしの道具店」は、広告費をゼロにした上で、SNSやオウンドメディアなどを利用して集客していることで知られています。実際に、表示(ディスプレイ広告)からの流入は極めて小さくなっています。
検索も100%オーガニックです。
ただ、一点考えなくてはいけないのは、SNSの運用やメディアの構築などに関しても、一定のコストが掛かるということです。
ここまでのメディアを作るには、相当の労力が必要である、と認識してください。
Zoff
より専門的なサイトであればどうでしょう。例えばメガネ通販の Zoff は、このようなトラフィックになっています。
ここを見ると、ディスプレイ広告からの流入が、これまでのサイトの中では最も多いことがわかります。
また、検索の中の一定程度が、有料検索(リスティング広告)からの流入であることも分かりますね。
これは、Amazon のような総合的なECサイトや、北欧、暮らしの道具店のような強烈なファンがいるECサイトとも違い、「眼鏡」という明確な需要のある商材を専門的に扱っている、ということも影響しているでしょう。
このように、一口にECサイトと言っても、様々な集客モデルがあることが分かっていただけるのではないでしょうか?
つまり、競合を明確にすることで、集客モデルを明確に構築することが出来るのです。
この記事のまとめ
- あなたの事業は、何もしなくても一定の集客や顧客獲得が出来るアセットはあるでしょうか?
- もし集客に資するアセットがないとすれば、一人の顧客を獲得するのにどの程度のコストが掛けられるでしょうか?
- どのような媒体や集客チャネルを選択することで、狙っている顧客を獲得できるでしょうか?
- あなたの競合は、どのように集客をしているでしょうか?