All for Unknown

CMO株式会社(https://jp.cmo.team)代表、遠藤結万(えんどうゆうま)のブログ。

映画#4 「グレイテスト・ショーマン」の時代(81点)

採点

81点

名言

最も高貴な芸術とは、誰かを幸せにすることだ。
The nobelest art is that of making others happy

ひとこと(ネタバレ無し)

この作品は、二つの作品を下敷きにしている。

地上最大のショウ [DVD]

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フリークス [DVD]

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一本目は直接的なリメイク元、二本目は今回のテーマでもある「フリークス(奇形)」だ。 サーカスは、ある時代まで、見世物小屋と同義だった。

フリークスは、コンプレックスをさらけ出すことではじめて満足感を得るわけだが、ここは難しいところである。見世物にされずとも生きられる時代というのは、まだ遥かに先立ったからだ。本来なら、見世物ではなく一人の人間として人生を生きられたかもしれない人たちではあるけれど、それでも彼らはいきいきと輝いてみえる。

そのへんを知った上で知ると面白いかもしれない。

ひとこと(ネタバレ有り)

映画としては0点だ。ストーリーはご都合主義の上に説明不足で酷い。しかし、エンターテインメントとしてみれば十分すぎるほど楽しい。 ネタバレもなにもない。歌と踊りを楽しんでほしい。

しかし、ヒュー・ジャックマンの若いときくらい別の俳優を使えばいいのに、あえて使わないのは「本物」である、演劇を意識しているのだろうか。 流石に20歳には見えないのだけど。

映画#3 ダークナイトとヒース・レジャー(80点)

www.youtube.com

採点

80点

名言

違う、俺はあんたを殺したくなんかねえ。あんたを殺したら、一体何をすればいいんだ? ケチなどろぼうに戻るのか?違う、違う!あんたが俺を完成させるんだ。
I don't, I don't want to kill you! What would I do without you? Go back to ripping off mob dealers? No, no, NO! No. You... you... complete me.

一言(ネタバレ無し)

クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、モーガン ・フリーマン、ゲイリー・オールドマンといった素晴らしい役者が揃いながらも、ジョーカーを演じたヒースレジャーが凄すぎて、あまり頭に入らない。

一言(ネタバレ有り)

トゥーフェイスことハービー・デントの行動がいまいち腑に落ちないのが気になる。 いや、あの状況で絶望するのはわからなくもないのだけど、心理描写がちょっと駆け足すぎる。もっと泣いて悲しんだりとか、そういう時期があってもいいのではないだろうか……。あとは、ゴードンよりもバットマンを恨んだほうがいいのでは、とか。

ヴィランとしてはジョーカーに完全に食われてしまっていて、前半の中途半端に正義漢なところばかりがどうも鼻についてしまう。鬼気迫る演技と特殊メイクは流石に迫力たっぷりなのだけど。レイチェルがあまりゴージャズではなく、普通の女の子にしか見えないのもマイナス。 でも、やっぱりラスト15分位は本当によかった。ゲイリー・オールドマンとマイケル・ケイン、モーガン・フリーマン。とにかく豪華。

まあ、とにかく、ヒース・レジャーは永遠に記憶に残る。死後にオスカーを取るなんて、そんな俳優はもう出てこない。

www.youtube.com

映画#2 「ラヂオの時間」の時代(83点)

 

ラヂオの時間

ラヂオの時間

 

 

名言 

彼こそが、我らがドナルド・マクドナルド!!

 

 

採点

82点

 

 

一言(ネタバレ無し)

平凡な主婦が投稿した大したことのない脚本が、ラジオドラマ(しかも生放送)に採用されたものの、どんどん現場の事情で変わってきて……。という話。

大物俳優が勢揃い。唐沢寿明がかっこいい。鈴木京香も、いかにも主婦という出で立ちだけど魅力的。

 

一言(ネタバレ有り)

流石にリアリティはないんだけど、でもわかってても笑ってしまうのはさすが。

劇中劇自体はくだらない話なんだけど、ドナルド・マクドナルドが宇宙から帰ってきたとき、感動してしまう。

 

西村雅彦さんに愛人がいたり、アシスタントの女の子がこき使われたり、マスコミの悪しき時代の空気というのが伝わってくるのが面白い。

新聞社ごとのデジタル・マーケティング戦略を分析する

普段、内容で語られがちな新聞ですが、今回はマーケティング的に、どのような違いがあるかについて分析していきます。

今回、分析ツールとして、SimilarWeb を利用しました。

  • このツール、あくまで推定値を表示しているだけなので、実数ではありません。時々外してます。ご容赦ください。
  • 全て、2018年3月の数字です(一ヶ月間だけの数字なので、直近のニュース内容などで左右されている可能性があります)。
  • あくまで推定値なので、混乱を避けるためにグラフには実数(の推定値)は乗せていません。パーセンテージは乗せています。

先行する朝日

まず、Similar Webで確認した、流入元ごとのセッション数の違いを見てみましょう。

 

f:id:yumaio:20180801175854p:plain

全体的なセッション数としては

朝日 > 日経 > 読売 > 毎日 > 産経

という順になります。朝日新聞が先行し、デジタル化をいち早く成功させた日経新聞が続いている、といった状況です。

 

f:id:yumaio:20180801180156p:plain

朝日新聞に関しては、ソーシャルメディアの強さも目立っています。

はてなブックマークからの流入も圧倒的に多く、Twitterからの流入も他社と比べて最大です。

 

デジタル化の日経

f:id:yumaio:20180801180002p:plain

また、日経新聞に関しては、セッションごとの閲覧ページ数、つまりユーザーの回遊率も他のサイトに比べて高くなっています(逆に、毎日新聞の低さが際立ちます)。

 

これらを含めて、デジタル化に最も成功した新聞社は日経新聞である、というのは疑いようがないところでしょう。

 

また、目を引くのが公式アカウントのフォロワー数です。朝日新聞を大きく引き離し、300万人近いフォロワー数を誇っています。

f:id:yumaio:20180801184646p:plain

ブランド力の読売

f:id:yumaio:20180801180410p:plain

こちらは、全体を100としたときの、各流入元ごとの比率です。

ダイレクトの流入(URLを入れたり、ブックマークから流入したり)は、読売新聞が朝日新聞よりも多いことがわかります。

読売新聞は、半数以上がダイレクト流入というニュースサイトとしては異例の多さです。流石は発行部数世界一、と言ったところでしょうか。

 

検索に強い毎日

また、毎日新聞の検索流入への依存度の高さも目を引きます。検索数では、日経新聞と朝日新聞に次ぐ二位となっています。

f:id:yumaio:20180801184052p:plain

記事ごとで見ると、最も検索エンジン最適化(SEO)の施策が成功している新聞社サイトであるといえるのではないでしょうか。

毎日新聞は、記事の転載を許諾しているケースが多く、被リンクが多くなっている可能性があります。

例えば、話題の「加計学園」をシークレットモードで検索すると、毎日新聞の記事がウィキペディアの次に出てきます。

f:id:yumaio:20180801184901p:plain

興味深いのが、毎日新聞を指名している検索が多いわけではない、ということです。

例えば、Google Trends で調べた、過去十二ヶ月間の新聞社の関連クエリの検索は、下記のように毎日新聞が最も少なくなっています。

f:id:yumaio:20180801184954p:plain

また、指名検索での流入割合も、他サイトに比べるとかなり低くなっています。

ニュースサイトとしての立ち位置が必ずしも朝日や産経ほどには明確ではない、という点に一因があるのかもしれません。

 

健闘する産経

Business Journal の2016年の記事によると、各新聞社ごとの販売部数はこのようになっています。

  • 読売新聞 8,959,597
  • 朝日新聞 6,456,861
  • 毎日新聞 3,055,276
  • 日経新聞 2,719,080
  • 産経新聞 1,592,388

この販売部数でセッション数を割ると、結果は下記のようになります。

f:id:yumaio:20180801180507p:plain

読売新聞は、販売部数の割にはデジタル化に成功してはいないことがわかります。

一方、産経新聞は、販売部数に対して、デジタルでの存在感が大きいことがわかります。

また、ソーシャルメディアごとの流入割合で見ると、産経新聞はかなりTwitterからの割合が多く、はてなブックマークからの流入が少ないことがわかります。

f:id:yumaio:20180801185035p:plainこの点も、プラットフォームごとのユーザーの性格が見えて、興味深いのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたでしょうか?あくまで外部ツールを使っての分析ですので、実際の数値と違う所があればご容赦ください。

社によって有料記事にしている範囲なども違うため、一概に比べられるものでもない、という批判はあるかと思います。

 

日本もこれから新聞社の大きなビジネスモデルの転換を迎える中で、どのようにデジタル化に対応するかは興味深いです。

新聞社ごとのデジタル・マーケティング戦略を分析する

普段、内容で語られがちな新聞ですが、今回はマーケティング的に、どのような違いがあるかについて分析していきます。

今回、分析ツールとして、SimilarWeb を利用しました。

  • このツール、あくまで推定値を表示しているだけなので、実数ではありません。時々外してます。ご容赦ください。
  • 全て、2018年3月の数字です(一ヶ月間だけの数字なので、直近のニュース内容などで左右されている可能性があります)。
  • あくまで推定値なので、混乱を避けるためにグラフには実数(の推定値)は乗せていません。パーセンテージは乗せています。

先行する朝日

まず、Similar Webで確認した、流入元ごとのセッション数の違いを見てみましょう。

 

f:id:yumaio:20180801175854p:plain

全体的なセッション数としては

朝日 > 日経 > 読売 > 毎日 > 産経

という順になります。朝日新聞が先行し、デジタル化をいち早く成功させた日経新聞が続いている、といった状況です。

 

f:id:yumaio:20180801180156p:plain

朝日新聞に関しては、ソーシャルメディアの強さも目立っています。

はてなブックマークからの流入も圧倒的に多く、Twitterからの流入も他社と比べて最大です。

 

デジタル化の日経

f:id:yumaio:20180801180002p:plain

また、日経新聞に関しては、セッションごとの閲覧ページ数、つまりユーザーの回遊率も他のサイトに比べて高くなっています(逆に、毎日新聞の低さが際立ちます)。

 

これらを含めて、デジタル化に最も成功した新聞社は日経新聞である、というのは疑いようがないところでしょう。

 

また、目を引くのが公式アカウントのフォロワー数です。朝日新聞を大きく引き離し、300万人近いフォロワー数を誇っています。

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ブランド力の読売

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こちらは、全体を100としたときの、各流入元ごとの比率です。

ダイレクトの流入(URLを入れたり、ブックマークから流入したり)は、読売新聞が朝日新聞よりも多いことがわかります。

読売新聞は、半数以上がダイレクト流入というニュースサイトとしては異例の多さです。流石は発行部数世界一、と言ったところでしょうか。

 

検索に強い毎日

また、毎日新聞の検索流入への依存度の高さも目を引きます。検索数では、日経新聞と朝日新聞に次ぐ二位となっています。

f:id:yumaio:20180801184052p:plain

記事ごとで見ると、最も検索エンジン最適化(SEO)の施策が成功している新聞社サイトであるといえるのではないでしょうか。

毎日新聞は、記事の転載を許諾しているケースが多く、被リンクが多くなっている可能性があります。

例えば、話題の「加計学園」をシークレットモードで検索すると、毎日新聞の記事がウィキペディアの次に出てきます。

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興味深いのが、毎日新聞を指名している検索が多いわけではない、ということです。

例えば、Google Trends で調べた、過去十二ヶ月間の新聞社の関連クエリの検索は、下記のように毎日新聞が最も少なくなっています。

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また、指名検索での流入割合も、他サイトに比べるとかなり低くなっています。

ニュースサイトとしての立ち位置が必ずしも朝日や産経ほどには明確ではない、という点に一因があるのかもしれません。

 

健闘する産経

Business Journal の2016年の記事によると、各新聞社ごとの販売部数はこのようになっています。

  • 読売新聞 8,959,597
  • 朝日新聞 6,456,861
  • 毎日新聞 3,055,276
  • 日経新聞 2,719,080
  • 産経新聞 1,592,388

この販売部数でセッション数を割ると、結果は下記のようになります。

f:id:yumaio:20180801180507p:plain

読売新聞は、販売部数の割にはデジタル化に成功してはいないことがわかります。

一方、産経新聞は、販売部数に対して、デジタルでの存在感が大きいことがわかります。

また、ソーシャルメディアごとの流入割合で見ると、産経新聞はかなりTwitterからの割合が多く、はてなブックマークからの流入が少ないことがわかります。

f:id:yumaio:20180801185035p:plainこの点も、プラットフォームごとのユーザーの性格が見えて、興味深いのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたでしょうか?あくまで外部ツールを使っての分析ですので、実際の数値と違う所があればご容赦ください。

社によって有料記事にしている範囲なども違うため、一概に比べられるものでもない、という批判はあるかと思います。

 

日本もこれから新聞社の大きなビジネスモデルの転換を迎える中で、どのようにデジタル化に対応するかは興味深いです。

それ、本当に需要ある? 起業の前にニーズを確認するべき理由とは

起業のデジタル・マーケティング 記事一覧

  1. 新規事業や起業の「前」に、なぜマーケティングを考える必要があるのか?
  2. それ、本当に需要ある? 起業の前にニーズを確認するべき理由とは

 

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Forbes の記事によると、スタートアップが失敗する理由で圧倒的に多いのは、「そもそもマーケットに需要がなかった」という点です。

前回の集客モデルの点でもお伝えしたように、マーケティングはむしろ、事業を始める前に考えるべきものです。

とすると、そもそもニーズ/需要があるかという点については、どのようにチェックすればいいのでしょうか?

 

目次

 

なぜニーズがないものが出来てしまうのか?

ニーズがないものが生まれる理由の多くは、下記のような「名言」が生み出している神話にあります。

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。

ヘンリー・フォード 

しかし、顧客が馬を欲しがっていることすら知らなければ、自動車を作ることも出来なかったはずです。

つまり、顧客が何を求めているかを知ること自体は、とても重要なプロセスなのです。

 

それでは、今回はデジタルマーケティングの手法を使って、顧客のニーズを調べる手法を考えていきます。

 

プレ・マーケティングという考え方

マーケティングには様々な意味がありますが、広告だけではなく、顧客の反応を見ながら、コミュニケーションを行うことも含まれています。

そもそも、ゼロから事業を立ち上げるスタートアップは、製品を立ち上げてからマーケティングを始めるというわけには行きません。

つまり、製品を作る前のマーケティング、すなわち「プレ・マーケティング」が必要なのです。

 

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、プロジェクトに共感した出資者が少額を出資し、一定額に出資したときに、プロジェクトをスタートし、実際に製品を作り出すという仕組みです。

 

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これは小規模な企業だけではなく、例えばテスラのモデル3は、生産ラインが確立する前に大規模な事前予約を受け付けています(その結果、量産体制に移るのに苦しんでいますが…)

 

 

プレ・マーケティングについては、別記事で詳しく解説します。

 

Google トレンド

ニーズを調べるのに最も適したサービスの一つが、検索エンジンの推移を調べる Google Trends です。

いくつかのサービスには、その前身になる概念や検索クエリがあります。

 

例えば、テスラと電気自動車を比べてみましょう。2010年位から、電気自動車の検索ボリュームが増え始め、それと同時に少しずつテスラが上昇しています。それに伴って、電気自動車の盛り上がりは一段落しているのがわかるでしょう。

 

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検索されるということはニーズが有るということです。つまり、一定程度検索ボリュームがあれば、そこには何かしらの需要があるということでしょう。

例えば、下記三都市のホテルに関する検索を調べてみると、東京のホテル需要は、日本においては少し減少し、代わりに大阪の存在感が増していることが分かります。

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ニーズを調べる② キーワードプランナー

キーワード プランナーについて - AdWords ヘルプ

 

Google 広告の仕組みは、特定の検索キーワードに対してそれぞれ広告主がオークションを行い、オークションに参加する広告主が多いほど高額になるというものです。

 

顧客がより強いニーズを抱えていればいるほど、費用対効果がよくなるため、そのキーワードは高額になるわけです。

 

Wordstream によると、最も高額なキーワードは「保険」「クレジット」や、「弁護士」など、簡単に言うとより困っている顧客がいるほど、高額になる傾向があります。日本においても、「クレジットカード」などは一クリック1500円〰2000円程度になる傾向にあります。

 

まずキーワードを考え、それがどの程度検索されているか、あるいはどの程度高額なのかを確認することで、現状存在する需要を充分に検索することが出来るのではないでしょうか。

 

ニーズを確認することでマーケティングにも応用できる

今回は、主に検索を利用する方法をご説明しましたが、需要を確認していれば、その後のマーケティング戦略も簡単に立てることが出来ます。

様々なツールを使い、充分に顧客のニーズがあるかどうかを確認しておく必要があるでしょう。

 

いかにして Google は検索エンジンの覇者となったのか?

デジタル・マーケティングを知る 記事一覧

  1. いかにして Google は検索エンジンの覇者となったのか?

Google は初めての検索エンジンでしょうか……?違います。では、Google は最後の検索エンジンでしょうか……?もしかすると。

この数年ほど、検索エンジンを作ろうという野心的な試みは、西海岸のスタートアップの間でもほとんど耳にしたことがありません。

Instagram 検索や Twitter 検索などは、リアルタイムな情報やより立地な情報を探すための、検索エンジンの代替として使われ始めています。

しかし、それでも、今後、Google の直接的な競合が生まれるとは(いまのところは)思えません。

いかにして Google はこれほど巨大な存在になったのでしょうか?

理由① ー 充分でなかった競合

そもそも、Google 以前のロボット型検索エンジンは、どのような仕組みを取っていたのでしょうか。

当時の検索エンジンをまとめた論文を読んでみましょう。

http://cui.unige.ch/tcs/cours/algoweb/2002/articles/art_habashi_arash.pdf

 

 

 

例えば、当時最大級の検索エンジンだったAltavistaについては、こう記載されています。

1996年1月までに1600万を超えるWebページの全文をインデックスしますが、更新頻度は明らかになっていません。 AltaVistaのドキュメントによると、1日に250万のWebペー​​ジを取り込み、1時間に1GBのテキストをインデックスしています。

検索結果の表示順序や関連性ランクは、一致する単語の位置(例えば、タイトルまたはテキストの本文)、一致する単語の出現頻度、および一致する単語間の距離(すなわち、何ワード離れているか)によって決定されます。

Altavistaと同じように、当時の検索エンジンの殆どは、Webページの中身を解析し、検索クエリがどの程度出現しているか、という頻度や距離を使って順位づけする仕組みになっていました。

全文検索エンジンの問題は、スパムが非常に容易な点にあります。出現頻度だけで計算するなら、ただひたすら文字を増やせばいいだけですから。これは「ワードサラダ」と呼ばれ、Google の初期ですら頻発した問題です。

 

理由② ー ページランクと表示技術

ページランクとは?

ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンが考案したページランクは、そのような状況を変える上で極めて画期的なテクノロジーでした。

ページランクとは、とても簡単に言えば

  • 多くのWebページにリンクされているWebページは、質が高い
  • 質が高いWebページにリンクされているWebページは、同じように質が高い

という仮説を元に、Webページを点数化するアルゴリズムです。このページランクを使えば、以前のように単語をひたすら入れれば上位に表示される、ということはありません。

つまり、より正確な結果が表示できるというわけです。

 

ページランクの設計思想

今日の Google の設計思想にも繋がる点は、既に1999年に、ラリーによって書かれた論文にて述べられています。

http://ilpubs.stanford.edu:8090/422/1/1999-66.pdf

Webページは「今日のランチにジョーは何を食べますか?」という質問から、情報検索に関する論文まで、様々な質問に答え、経験の浅いユーザーのためにも検索順位を操作しなければなりません。

これを見る限り、ラリーが非常にヴィジョナリーな視点で検索エンジンを捉えていたことがわかります。今日に見られるような音声検索や、AIによる質問への応答につながるのではないでしょうか。

 

Google のテクノロジー

ともあれ、ページランクを含め、Google の技術は他を圧倒していたようです。

Quora に、なぜ Google が Altavista に勝ったのか?という質問が投稿され、Google を最初期から利用しているユーザーのコメントが載っています。

Why did Altavista search engine lose ground so quickly to Google? - Quora

誰かがこのスタートアップ、Googleについて教えてくれました。私はやや懐疑的ながら、アニメのようなロゴのあるサイトにアクセスしました。

最初にGoogle で検索したとき、すぐに結果が表示されました。

私はこう思いました。 「彼らは本当に検索したわけじゃない。速いと思わせるために、いくつかの結果を投げただけだ」

しかし、結果を見ると、驚くほど関連性の高いページが表示されていました。

私は別の質問をしました。同じように瞬間的に、驚くほど関連性の高い結果が帰ってきました。 

彼によれば、とにかく早く、関連性が驚くほど高かった、ということです。

 

理由③ ー ビジネスモデル確立のタイミング

検索エンジンはお金にならなかった

少し視点を変えてみましょう。Google が世界最高の検索エンジンだったとしても、当時それは、「数ある世界最高の技術を持ったスタートアップの一つ」に過ぎなかったのです。

現在のようにGoogle が巨大企業になるとは、誰も考えていませんでした。

それまで、検索エンジンの収益モデルといえば、MSNやAOL、Yahoo! などのサイトにエンジンを提供する程度でした。

実際、(有名な話ですが)Google は Excite に一億円で買収しないか、持ちかけていました。当時、検索エンジンだけではなく、ポータルサイトを持っていた Excite のほうが遥かに金持ちだったからです。

ラリーいわく「彼らはエキサイトしなかった」ということで(ラリー・ペイジがよく使う、あまり受けないジョークの一つ)、この買収は実現しませんでした。Excite の社史に残る失敗と言えるでしょう。

 

検索連動型広告という革命

GoTo.com(後のオーバーチュア→Yahoo! プロモーション広告)が、検索連動型広告、リスティング広告というものを生み出すまで、検索エンジンはどう考えてもお金にならない事業でした。

そして、Google はそれを模倣して、巨大な広告市場の支配者となったわけです。

もし仮に、検索連動型広告の誕生がもっと遅れていれば、Google は数ある先駆的だがお金にならないスタートアップの一つとして終わっていたかもしれません。

 

検索連動型広告の誕生後、突如として検索エンジンは、異常なほどの利益を叩き出す、マネーメイキングマシンへと変化しました。

Google AdWords は Overture よりも後発ながら、セカンドプライスオークションの仕組みを取り入れることで収益性と広告主の利便性を向上させることに成功したのです。

 

本質的な失敗点 ー なぜYahoo! が失敗したのか

しかし、これらのことは、本質的には失敗の原因ではないのかもしれません。

本質な問題は、多くの人が、検索エンジンの重要性と、その成長ポテンシャルを見誤っていたことにあります。

投資家で Y Combinator の創業者、Yahoo! の元従業員であるポール・グラハムによると、彼は90年代後半に、Googleを買収するべきだと創業者のデビッド・ファイロにアドバイスしたそうです。

 

What Happened to Yahoo

1998年後半か、1999年初めにデビッド・ファイロにGoogleを買うべきだと言ったはずです。私も、他のほとんどのプログラマーも、Google をYahoo!検索の代わりに使っていました。

それに対して、Yahoo! 創業者のファイロはこう答えたそうです。

検索は我々のトラフィックのたった6%だ。そして、我々は月に10%ずつ成長している。そんなこと、心配する必要はないよ。

 同じようなストーリーを、Inktomiのエンジニアであった Diego Basch も語っています。

A Relevant Tale: How Google Killed Inktomi | Diego Basch's Blog

大きな危険信号が鳴り響いていました。Inktomiのエンジニアは、検索エンジンとして Google を使い始めていました。

私たちの幹部は、(ビル・ゲイツが子供たちに Apple 製品を使用することを禁止したように)、エンジニアが Google を使うのを、やめさせようとしました。 なぜ自分が Google を使っているのだろう?と考えれば、答えは明らかでした。ユーザー体験が優れていたからです。

結局のところ、誰も検索エンジンがこれほど大きなビジネスになるとは信じていませんでした。稀代の起業家であるデビッド・ファイロはもちろんのこと、おそらくは、ラリーとサーゲイさえも。

後から見れば、危険信号は明白でした。炭鉱のカナリアは息絶えていました。しかし、それはあとになったから言えることだからでしょう。